燻製ニシンの虚偽(Red Herring)
それは、重要な情報から観客の目をそらす語りの騙しの技法
料理人の相馬は、定食屋の経営に失敗し、愛する妻子に出ていかれ、絶望の淵にいた。
「わたしの物語づくりのお手伝いをしてくれませんか?」
それが、謎の若者が、なにもかも失った相馬にしてきた仕事の依頼だった。
しかも、その奇妙な仕事の報酬は、店をやり直せるほどの大金!!
これがあれば……あいつも、あの子も帰ってくる……、だが俺はいったい何をするんだ?
相馬は、この謎の若者についていく、その正体を暴こうと……。
けれど、そこで、若者の計画を知ると、相馬は、こう返した。
「つまり……俺自身を料理すればいいのか?」